小火(ボヤ)も火災のうち

たき火は人の意思に反して燃えてないので火災に非ず
たき火は人の意思に反して燃えてないので火災に非ず

 2014/12/6 

   ボヤと言わず「異常燃焼」と言う

 

  新日鐵住金名古屋製鉄所のコークス工場の石炭貯蔵ポッパー火災事故(2014.9.3)について、当初は「異常燃焼等」と表現していましたが、爆発が起こったこともあり、後で「火災事故」に改めました。異常燃焼の語句を用いたのは神戸製鋼所のコークス火災の例もあります、

  さて、火災が発生したとき、消防署、労働基準監督署へ届出義務があるので、小さな火災はすぐ消したときにボヤ(小火)は火災ではないと解釈する人がいます。

 火災の定義について、消防庁の「火災報告取扱要領」では次のとおりとなっています。

 「火災とは、人の意図に反して発生し若しくは拡大し、又は放火により発生して消火の必要がある燃焼現象であって、これを消火するために消火施設又は同程度の効果のあるものの利用を必要とするもの、又は人の意図に反して発生し若しくは拡大した爆発現象をいう。」

 すなわち、次の3つの要素を満たすものを火災としている。

1)人の意思に反して発生(放火も含む)

(2)消火の必要がある燃焼現象である

(3)消火施設の利用を必要とする

人の意図に反して発生し若しくは拡大した爆発現象の場合は2及び3の有無にかかわらず火災とする。

 

  消防庁の火災要件の3要素を全て満たないものが、火災とはならないとの定義とすれば、「物は燃えたが、消火行為をせず自然に消えたとき」は火災ではないことになる。異常燃焼で消火行為をしたら火災になるのです。消火行為をしなくとも「爆発」は火災扱いです。爆発の定義は別の機会に論じます。

 

  戦後まもなく1950年当時の出火原因特別委員会の考え方としては、「たき火の放置」「草焼きの火の拡大」、焼損床面積が3.3㎡に満たないような火事は、火災として取り扱うことしてない時期があった。現在は、火事になる前にすぐに消し止められたものは小火(ぼや)、規模が小さいものは火事(かじ)、焼失面積が大きく被害が甚大なものは大火(たいか)と区分している。 

 小火(ボヤ)は消防へ通報しなくてもよいとは法令にはどこも記載していない。小火が大火となり、爆発を誘発して大事になったときにすぐに通報しないことを叱責される事件は多い。それは消防車が来なければ火災ではないとする誤った認識なのです。

 すぐ消えたボヤ(小火)は通報しないでよいと思つている職制がいる。火事対策不備を指摘され責任追求されるので大火事にならないと通報したくない。そのことが通報遅延になる。

 

 光和精鉱株式会社は小さな事故、ケガもみんなに知らせて発防止に繋げるのが会社の方針であり、これを皆んなで実行しようと努力しています。悪しき前例を悔悛して、隠さない文化が成熟しないと企業は存続できない時代なのです。

 

 消防法

第24条  災を発見した者は、遅滞なくこれを消防署又は市町村長の指定した場所に通報しなければならない。

2 すべての人は、前項の通報が最も迅速に到達するように協力しなければならない。