光和精鉱株式会社は、ICカードタイムカード記録システムザイオンZaionNnetで出退勤記録を1年前から導入して、印字打刻式のタイムカード中止した。おまけに、パソコン利用ログ取ってタイムカードとの照合チェックをしている。これは労働基準監督署からの厳格な労働時間管理をするように是正指導を受けての改善です。
このシステムに時間外労働を直接入力すればよいものをわざわざ「勤怠管理システム」に自己申告入力させ、上司承認の形態をとっている。時間外管理はザイオンで統合すればよいのに、月始めに入力させる「無駄なこと」をさしている。労働時間管理者として、毎日、労働時間を掌握する道具としてザイオンシステムは活用されていない。
なぜ、勤怠管理システムとタイムカードと照合する手間のかかることをしているのか。それは、出退勤時刻、即時間外賃金時間とならないためであり、15分単位の端数切上げすることを敬遠させ抑止しているのではと邪推する。
そもそも、労働時間の把握義務は使用者にあり、使用者から委託を受けた職制が労働時間を記録しなければいけない。時間外記録もれは、不払い賃金違反ではなく、労働時間の把握記録義務違反になります。
本人が端数切捨てして時間外申告したので、時間外にしなかつたとする処置は労働基準法違反です。光和精鉱は15分単位の時間外で賃金計算していますから、1分でも過ぎ端数は、15分単位で切上げとしなければいけません。端数切上げ履行できないならば、1分単位で賃金計算すればよいのです。
時間外は下命、承認が原則ですが、毎日、都度、承認下命をせず、月単位でまとめて申告するようなことを日常的にしている場合は、「黙示の命令」として、下命があったものと見做されます。
労働時間の端数が切り捨てられている。
(堀政哉法律事務所HPから)
このような計算方法になっているのはよくあるケースだと思いますが、別のページでも書きましたように、原則として、労働時間は1分単位で計算しなければなりません。例えば、30分未満の端数を切り捨て、30分以上の端数を30分(0.5時間)として計算するような方法が採られている場合がありますが、これは、常に労働者に不利な取扱いがなされる方法であり、「実際に労働した時間分の賃金が全額支払われていない」(賃金全額払いの原則違反)ということにほかなりません。ですから、このような労働時間の端数の一律カットは、認められません。
これに対し、“四捨五入”のような考え方で、1か月の労働時間を通算して、そのうち30分未満の端数を切り捨て、30分以上の端数は1時間に切り上げて計算するという方法であれば、一般的に労働者に不利というわけでもないので、便宜的な計算方法として認められます。ただし、この“四捨五入”類似の計算方法を毎日の労働時間について行うことは、認められていません。
毎日このような処理をすれば、実際の労働時間との差異が大きくなっていきますし、1日単位で見れば、どうしても端数がカットされることが多くなるのがその理由と思われます。
したがって、(1)労働時間の端数が一律カットされている。(2)1か月通算ではなく、毎日の労働時間について、端数処理がなされている。というようなケースでは、1分単位で残業代を計算し直したうえで、実際に支払われた残業代との差額を未払残業代として請求することができます。(堀 政哉法律事務所HPから)