労使協定の周知義務(労基法)

白土三平『ワタリ』 忍者は掟を破った者は殺される。しかし掟の内容知らせない。抜忍したら秘密守るために殺される。
白土三平『ワタリ』 忍者は掟を破った者は殺される。しかし掟の内容知らせない。抜忍したら秘密守るために殺される。

2016/8/5 07:23

 

非組合員に効力が及ぶ労使協定の周知義務

 

 平成10年労働基準法改定で労使協定の周知義務が新設されています。

 従来から、法令及び就業規則(別に定めると付属規定を含む)の周知義務が課されていますが、新たに周知義務が課された労使協定は、非組合員まで波及し拘束されるものが対象となっています。

 本来、労使協定は、労働組合が組合員へ報告しているのですが、実際には、締結された労使協定の内容を、自由に確認できない状況があります。ですから、使用者に協定の周知義務を課したのです。

 労働基準法に基づく労使協定を必要としているものを列挙すれば下記のとおりです。

 

 36協定は、非組合員にも効力が及びます。昨年度の「年間36協定超えて代休日数付与変更する」協定を2016/6/3社内掲示により周知したのは、労働基準法違反に問わないようにしたのか不明です。

 当ユニオンは、ことあるごとに、労働条件に関わる規則、協定を周知するよう要請、督促してきました。その結果、会社は、労働条件に関する労使協定を掲示板で周知するようになりました。

 規則、内規、規程、要綱などの諸規則は、周知されて有効となる。不利益改定は遡及改定実施したり、事後周知することがないことを願っています。

 周知とは、いつでも自由に知り得る常態にあることであり、職制の机の奥に仕舞い込んでいて、都度、頼んで見せてもらわないといけない常態は、周知とは言いません。

   

労働基準法に規定している労使協定の周知義務一覧

(労基法以外にも労働契約法、労安法で周知を義務つけているものある)

  • 賃金控除協定 (法24条1項但し書)
  • 一せい休憩の適用除外の協定 (法34条2項但し書)
  •  時間外・休日労働に関する協定 (法36条1項)
  • 1カ月単位の変形労働時間制の協定  
  • フレックスタイム制に関する協定  
  • 1年単位の変形労働時間制の協定  
  • 1週間単位の非定型的変形労働時間制の協定
  • 貯蓄金管理協定
  • 事業場外労働の労働時間算定に関する協定
  • 裁量労働制に関する協定  
  • 年次有給休暇の計画付与に関する協定 (法39条5項)
  • 年次有給休暇に対する支払額に関する協定 (法39条第6項但し書)
  • 新たな裁量労働制に関する労使委員会の決議
  • 時短推進委員会の決議 (時短促進法第7条)

関連過去blog

2014年09月08日 - 非組合員のこと決めた労使協定の効力

2015年07月11日 - 規則改定は実施日前周知が常識 

 2015年03月29日 - 規則を知らせず、規則があると謂う