2016/8/19 07:12
労働契約法と個人情報保護
人事考課結果が賃金改定、賞与額に反映することに合意するのが労働契約です。賃金規則、労使協定は集団的労働契約の一つです。労働契約ですから、業績評価を知らせ、それがどのように賃金改定計算に反映したのか労働者に知らせる義務が使用者にはあります。人事評価結果を通知しないことは労働契約法の趣旨に違反となるとする説があります。
「賃金の一部が考課・査定により算定されることが労働契約上合意されている場合には、それは使用者に人事評価権だけでなく、賃金支払義務に付随する『公正評価義務』であり、労働者側は評価開示請求権があります」つまり、給与改定額の通知だけでは、労働契約法上では違法ということになります。人事考課結果が公正に行われているのか全体の評価結果の開示がないと、適正になされているのか検証できません。
編集子は、以前、一次評価でAと言われたのに、金額通知で逆算したらC評価の計算になっていた。「どうしてか」と上司に尋ねると「私には分からない総務に聞いてください」と逃げられた。規則にある上下限の範囲です」返答されました。そのとき、評価ランクと計算係数のルール周知するよう求めましたが「回答はそれ以上でもそれ以下でもない」と逃げられました。
光和精鉱株式会社では、つい最近までは、最終評価結果を全員に知らされないことがおこなわれていました。先の賞与のとき、こちらから催促しないで、支給日前日に評価ランクを口頭通知ありましたが、計算係数は教えません。もちろん全体の考課分布は頑なに開示しません。
人事評価は、会社の価値判断により、思想信条、性的違いを理由とした差別以外であれば法律上許されていますが、えこひいき人事の批判を免れないように、査定基準を定めて公開しています。それに従って公平におこなわれているのか検証できません。成果主義制度を希求するのであれば、評価結果分布は公開するのが必要ではないでしょうか。
とりわけ、年齢給廃止し、職責給と業績給の賃金体系とする成果主義賃金を希求するのであれば、公平な評価とそれをチェックする態勢が強く求められます。①評価結果の文書通知と、②資格別階層別の評価分布公開は必須です。考課者訓練することや、絶対評価か相対評価がよいのかなどの納得できる方法は自ずとして収斂されていくものと思います。
個人情報保護法では、「本人から保有個人データの開示を求められたときは、 遅滞なく、書面または本人が同意した方法でそれを開示しなければならない。業務の適正な実施に著しい支障を及ぼす恐れがある場合について は適用除外に該当し、開示請求に応じないことが認められています。