電通 新入社員の飛降り自殺、労災認定

鬼の10則は、部下の指導訓話として自己責任論を増殖させる。
鬼の10則は、部下の指導訓話として自己責任論を増殖させる。

2016/10/18 21:16

光和精鉱でも飛び降り自殺があった。

長時間労働を黙視する企業文化

   

 大手広告代理店の電通に勤めていた高橋まつりさん(当時24歳)が入社9か月目の2015年12月クリスマスの夜、寮から飛び降り自殺したのは、残業時間が多くうつ病が発症したとして2016/9/30労災認定された。遺族と川人博弁護士と2016/10/7記者会見した。高橋さんは東大卒の新入社員で過重労働だけでなく上司のハラスメントめいた発言があつた。「君の残業時間は会社にとって無駄」「目が充血したまま出勤するな」「女子力がない」などハラスメントがあったことも明らかにした。「誰もが朝の4時退勤とか徹夜とかしている中で新入社員が眠いとか疲れたとか言えない雰囲気」があったという。全通には、「鬼の10訓」というのがあり、歴代の新入社員教員に使われていることがこの事件の背景にあると、川人弁護士が話している。川人弁護士は過労死裁判の第一人者であり、過労死の本を多く発刊されています。今後、損害賠償訴訟で1億円以上の賠償金は可能ではいと思います。全通の誠意ある対応なければ、全通は今年のブラック大賞にノミネートされることでしょう。

 高橋まつりさんの自殺の直前のツイッターがネット内で拡散されています。労働基準監督局は、電通本社と各支店に立ち入り調査で労働基準法違反として刑事罰の送検するのか注目されています。母親は記者会見で「過労死が繰り返されないよう、企業の労務管理の改善と、国が企業に指導を行うよう強く希望する」と発言してます。

 

 電通は、1991年8月27日大嶋一郎さん(24歳)が入社1年5か月で自宅で首を吊り自殺をし、遺族の父は損害賠償訴訟をして最高裁までもつれ、2000年3月に電通が最高裁で敗訴し約1億6800万円の損害賠償の支払い和解しました。「安全配慮義務が仕事量のしかるべき調整義務を含む」ということが判定されました。それ以降、いろんな会社で過労死労災申請や裁判が続き、労災認定基準が整備され、労働時間管理が強化さけました。しかし、労使協定さえすれば36協定の労働時間は青天井のままなので、時間外労働の法定規制が叫ばれています。電通は大橋さんの死亡に何の反省もなく、隠ぺい体質は変わらず、会社の責任はない、個人的な問題が原因とうそぶく態度が、「人を殺す労働環境」が変わらない企業文化は世の中から淘汰されるでしょう。

 

 光和精鉱株式会社では約20年前に、学卒スタッフが居住近くのマンション屋上から飛び降り自殺しました。道路に血痕がついてる情景はいまでも脳裏に焼き付いています。葬儀は故郷仙崎で執り行われ、近所の複数の人から「心筋梗塞で死んだそうですね」と話しかけられ、返答に窮し黙っているしかなかった。

   自殺の原因は、長時間労働と仕事の過重負担による苦悩が原因であったことは、関係者の証言などにより明らかでしたが、当時は、労働時間記録も杜撰で長時間労働により、うつ病自殺を労災認定とする法的整備がなされておらず、安全配慮義務違反として訴訟する術も知らないこともあり、自殺は本人の脆弱的資質の自己責任として片づけられました。

 光和精鉱は、葬儀後、管理職を集めてうつ病の講習会をしました。だが、会社として実態に即した労働時間把握は怠惰し、本人の自己申告としサービス労働を黙視し、自律的な改善はサボつてました。時間外削減策は、定常作業を減らすのではなく、予測のつかない臨時突発作業を減らす、自己申告を自粛させる愚策を改めないのです。

 

 電通の過労死自殺の報道で、大企業でも残業の過小申告させる企業文化が残されていることが明らかになりました。企業競争が激しいので労働時間規制を企業内労使間での自主規制では、抜け道ばかり作り効果がなく、やはり法律で規制しないと企業は真剣に取り組まないものです。 賃金が安く、労働時間が長く残業が多いのは、本人自己責任論だけで片づけて、諦めさせる文化が過労死を生む背景にあるのです。

 うつ病は専門医でないと治せないが、うつ病にならないような、働く職場環境の改善はできます。

 

金子みすゞは山口県仙崎で生活していました。
金子みすゞは山口県仙崎で生活していました。