2016/11/20 23:56
再掲(2015/5/28 ゙ログ
産廃としての有機溶剤処理作業は法律では特化則作業として適用されない。従って有機溶剤の特殊健康診断は義務ではない。診断結果も監督署へ報告しなくてよい。しかしながら、特化則が適用されます。産廃には多種多様な有害物含有している。最近、コークス炉から副生するコールタール取り扱い作業従事者は肺がん罹患すると労災認定されるが、近年、膀胱がんの発生罹患者が顕在化しています。以下、過去ブログ再掲します。:
2015.5.28
特化則と有機溶剤防止法の違い
光和精鉱株式会社は塩素系溶剤の処理を得意としています。また、有害物の特管廃棄物の処理も得意としている会社です。
ところで、廃油・溶剤処理は有機溶剤予防法の適用されません。溶剤予防則では、製造、使用、タンク掃除など具体的に列記された作業以外は法律の適用外となるためです。産廃処理が除外されたのではなく、法律施行された1972年には、産廃処理業者が少なかったことに起因していると思います。しかし、特化則では「取り扱う業務」と広く定義されています。ですから多くの有害廃油は特化則の適用を受けます。
ですが、産業廃棄物には、多種多様なものがあり、どれが特化則に該当するのか峻別することが困難です。有機溶剤予防法には、事業者の責務が書かれていません。特化則は、第1条に事業者としてやるべきこ第1条でいきなり定義が規定され、法の目的は書かれています。
特化則には第1条で事業者の責務が規定しています。予見できる健康リスクに対して安全健康配慮義務が課せられています。特化則は無機・有機物を問わず、がん、皮膚炎、神経障害といった健康障害を引き起こす物質に対する規制ですが、有機則は「有機溶剤」による中毒を防ぐための規制です。
特定化学物質障害予防規則(事業者の責務)
第一条 事業者は、化学物質による労働者のがん、皮膚炎、神経障害その他の健康障害を予防するため、使用する物質の毒性の確認、代替物の使用、作業方法の確立、関係施設の改善、作業環境の整備、健康管理の徹底その他必要な措置を講じ、もつて、労働者の危険の防止の趣旨に反しない限りで、化学物質にばく露される労働者の人数並びに労働者がばく露される期間及び程度を最小限度にするよう努めなければならない。
2013年9月に大阪の校正印刷会社「サンヨー・シーワィピー」で胆管がんを発症したことが発覚して、「1、2ジクロロプロパン、ジクロロメタンに暴露されていたことから労災認定された。その後、これら有機溶剤は、有機溶剤防止法から特化則の対象物に2014年8月変更されました。特化則のほうが有機溶剤予防法より規制が厳しいのです。
特化則は、対象物の含有量が1%、有機溶剤防止法は5%と濃度基準が異なるだけではなく、作業環境整備、健康診断など、より厳しい規制となります。微量PCB処理作業は特化則が適用されます。
光和精鉱株式会社は、多種な特化則物質を取り扱っています。特化則対象物の百貨店のようなところです。廃油だけ取り上げてみると、全ての廃油の含有成分を掌握して末端作業員まで周知することは困難な常態です。
成分が分からない。いろんな廃棄物を混合して薄まっているので適用外となっている。しかし、溶剤ドラム類は単体での取り扱いの場合は特化則基準の1%を超えることが多い。廃油ドラム類の払出し処理作業は、種類が多すぎて特化則可否の識別は困難です。
ジオキサンは特化則の対象物質ですが、廃棄物としての特管基準と大きく違う。廃アルカリ廃油で5㎎/L以上が特管です。液比重1.0とすれば5ppm。一方、特化則では1%=10000ppm以上となっています。特管廃棄物、即特化則とはならないのです。
光和精鉱の先輩達が、近年ガンで亡くなられた方は少なくない。大腸がん、口頭ガン、胃がん、肝臓がん、肺がんと種類が多く職業病との統計上の因果関係が立証できないのです。
[発がんのおそれのある有機溶剤とは]
「有機溶剤中毒予防規則」で規制対象になっている有機溶剤のうち、国際がん研究機関(IARC)において、発がん性の評価が1、2A、2Bに区分されている10物質をいいます。
クロロホルム※
スチレン
四塩化炭素
1,1,2,2-テトラクロルエタン
1,4-ジオキサン
テトラクロルエチレン
1,2-ジクロルエタン
トリクロルエチレン
ジクロルメタン
メチルイソブチルケトン
特管廃棄物 特定施設から排出する廃溶剤分類
トリクロロエチレン
テトラクロロエチレン、
ジクロロメタン、
四塩化炭素、
1,2-ジクロロエタン、
1,1-ジクロロエチレン
シス-1,2-ジクロロエチレン
1,1,1-トリクロロエタン
1,1,2-トリクロロエタン
1,3-ジクロロプロペン
ベンゼン