2017/6/23 21:28
クロネコヤマトでサービス労働が起こった背景
今朝の新聞にヤマト運輸求人チラシの折り込みが入ってました。完全出来高給として自分の車持ちこみし。配達荷物1個130円の個人請負の完全出来高制です。出来高賃金は雇用契約関係がありますが、個人請負は雇用契約関係なのない個人営業者になります。労働時間管理は自己責任です。労災、社会保険料は会社負担不要です。事故賠償責任も不要です。個人営業者として働かせる、完全出来高の個人請負の諸問題に顕在化つつあります。
さて、報道によれば、クロネコヤマトのヤマト運輸は、グループ子会社含み5万9000人に過去2年分の時間外不払い賃金230億円支払うと発表した。厚生労働省発表の全国での未払い賃金是正額は平成26年142億4,576万円 203,507人、 平成27年 99億9,423万円 92,712人と照らして1社で230億円突出しています。
ヤマト運輸はセールスドライバーは、始業前に出社してもタイムカード打刻させない、昼休みはまともに休憩とれない。トラック配送終えて帰社したら携帯端末閉じて即タイムカード打刻し、書類伝票整理をしていた。トラック運転以外の仕事は労働時間ではないとする誤った労務管理がおこなわれていた。
ヤマト運輸では熊本で平成26年12月、長時間労働でくも膜出血した男性が労災申請したが、サービス労働が労働時間と認められず労災認定されず裁判で起こしています。平成15年1月には長野営業所で上司のバワハラで自殺した遺族が損害賠償を起こしています。今回の不払い賃金問題はヤマト運輸の不払残業と労働時間のゴマカシが組織的に続いていたのは明らかです。
ヤマト運輸の不払賃金総額は一人当たり平均では230億円/59000人=39万円/人と推算できますが、パートアルバイトは時給だから不払賃金はない推理できる。フル勤務のセールスドライバーが毎日2時間のサービス労働とすれば @1500円/時間×2h×20日/月×24か月=144万円となる。休憩時間30分は精算対象外とすれば、144万/2時間×0.5=36万円となります。恒常的時間外を仮に40時間としてこれに毎日2時間/日×20日=40時間サービス労働加算すると80時間になり、36協定限度時間45時間を超えるので特別延長が必要となる。
ところが特別延長は6回/年までしか許されない。宅配荷物取り扱い量は増えているので、仕事減らすか人員増やすしないと1人当たりの残業は減らせない。そこで、労働者を個人事業者として業務委託するのです。
労働時間をゴマかすのは労務費削減だけ目的ではなく、運転手の長時間労働は、交通事故発生したとき使用者責任となるので労働時間記録を改ざんして、安全運転運行責任を回避する。過去にもヤマト何度か運輸は過去にも不払賃金の是正勧告を受けていますが、抜本的な対策を講じず、その場限りの残業代精算払いで済ましていたと想像します。
慢性的に忙しくて、残業はカットされ労働者の不満は爆発するのは必然です。最初は、労基署へ違反申告した労働者へ不払い賃金を40時間/週変則労働として精算をケチった。地方の一事業所の勇気ある労働者の告発が全社的な問題発展した。遡及精算払いは、消滅時効2年間で済むまそうとしています。退職者に不払残業支払うのか不明です。
詭弁的三段論法で言えば、サービス労働しないことが会社のためになる。
精神的論だけの残業削減指示→出退勤記録改ざん→残業自己申告→サービス労働→労基法違反→社会的信頼喪失→売上減→経営悪化