2017/8/15 07:31
「立派な計画や制度を作ったとしても、実行しなければ意味がない」故高橋まつりの母
各報道によれば、電通は、過去に残業代の未払い調査をして年度内に未払い残業代を社員に支払うという。会社にいて業務に関係ある過去のCM映像を視聴したり、担当企業の資料を見る場合は、自己研鑽として労働時間としていなかった。勤務時間外の「自己啓発」「自己研鑽」「自習」の黙示の指示は労働時間に該当するとの厚労省の指針(2016/12/26)受けて裁判官の心証をよくするために不払い残業を遡及調査に動いたと推察します。また、社員総数の半数を満たない組合員しかいないのに、労働組合長を労働者代表として長年36協定締結していたことが、捜査過程で明らかになり、長年36協定が無効であることが分かった。
高橋まつりさんの過労自殺を契機に、電通の違法残業は、東京簡裁が検察庁へ「略式命令は不相当」と異例の刑事裁判が開かれる。
電通では、「電通労働環境改革基本計画」を2017/7/27発表した。2年後の2019年度に社員1人当たりの年間労働時間を2014年度比で2割減らして1人当たり平均実労1800時間にすることを社長として責任をもって達成することを約束した。平均とは、残業多い人が低い人の薄まり平均下げるので突出する長時間労働者を隠すことになる。平均統計では、物事の本質が見えない。労務提供型のサービス業は人件費抑制するために要員増を契約、派遣で増やすとしている。計画はなかなか立派ですが、電通は、高度プロフェッショナル制度や営業職の裁量労働制の適用拡大が法改定されることを以前から要望している。
「電通労働環境改革基本計画」は同社HPで公開されています。
過労自殺した高橋まつりさんの母は、「立派な計画や制度を作ったとしても、実行しなければ意味がない。強い意思をもって取り組んでいただきたい」とのコメントを発表した。
1980年台に日本の鉄鋼産業が低賃金・長時間労働などによって生産コストを引き下げ,品を海外で安く輸出するソーシャルダンピングしていると欧米各国から避難され、政府は1989年に実労働時間を1800時間以下にすることを国際公約して、時短を企業へ要請し、企業は休日を増やし、労働組合は雇用維持のためワークシアによる時短を要請していた時期があった。その後。グローバル経済が進展し、派遣法改悪で、実労働時間短縮の政治的な取り組みは、2005年時短の旗を降ろして雲散霧消した。だが、過労死は増大するばかりで2014年過労死防止法が成立した。
いま、8時間労働でまともな生活ができる社会を求める世論が広がりつつあります。時間外労働の法的規制は過労死基準まで認める大穴の開いた法案を政府は提案する予定ですが、労使が自律的に残業上限時間を下げた36協定をすることが求められています。