2017/9/8 06:25
臨時採用→パワハラ→うつ病→自殺→公務災害申請→門前払い
戸畑市役所の臨時職員の遺族が、臨時職員嘱託には、公務災害が適用されないとことが違法として損害賠償160万円を提訴した。この裁判の第一義的な争点は非正規職員は、公務災害補償がなく、請求を受理しないことが正当かどうかを争う裁判です。労災補償は別途1209万円請求しています。非常勤職員は公務災害補償が適用されとし、公務災害申請を受け付けず、審査をしなかったことへの損害賠償であり、非常勤臨時職員は公務災害補償が適用されないことの違法性を争う裁判で注目されます。
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2015年5月に自殺した北九州市の非常勤職員、森下佳奈さん(当時27歳)の両親が29日、自殺は上司のパワハラが原因なのに非常勤を理由に公務災害の認定請求を認められず精神的損害を受けたとして、市に慰謝料など計160万円の損害賠償を求めて福岡地裁に提訴した。
市の条例は非常勤職員本人や遺族による公務災害の認定請求について規定しておらず、遺族は「常勤職員は請求できるのに、非常勤だからと門前払いする条例はおかしい」と訴えている。
訴状によると、森下さんは12年4月から市の非常勤職員に採用され、戸畑区役所の子ども・家庭相談コーナーの相談員として勤務し始めた。しかし、上司の叱責や業務量の負担増などから13年1月ごろにうつ病となり、15年5月に自殺した。両親が16年8月、公務災害の遺族補償手続きを市に問い合わせたところ、「本人や遺族による請求は認められていない」と回答された。
両親側は「本人や遺族の請求権を認めない条例は無効で、適切な調査で公務災害かどうかの判断を受ける期待権を不当に侵害された」と主張。
同時に市を相手取って労働基準法に基づく遺族補償など約1209万円の損害賠償を求める訴訟も福岡地裁に起こした。
市は「条例は国が各自治体に示したひな型に基づき定めた。また市の調査で上司のパワハラは認められなかったため、公務災害かどうかを判断する必要もない」としている。
地方公務員の公務災害を巡っては、常勤職員は地方公務員災害補償法に基づき本人や遺族が第三者機関の基金に認定申請できるが、非常勤職員は適用外になっている。このため各自治体が条例で非常勤職員の補償手続きを定めており、本人や遺族からの申請を認めている自治体もある。【平川昌範】
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朝日新聞デジタル 2017年8月30日13時48分