2017/9/24 09:27
全通、36協定時間延長し、過少申告させて違反ゼロ
電通違法残業裁判で検察は、電通は2014年是正勧告受けて、36協定規制時間延ばして、過少申告させて違反ゼロとして取り繕っていたことが明らかにされた。2014年10月だけでに1400人の違法残業があったというのは、ほぼ全員が残業の過少申告がおこなわれたと推測できます。電通社長は公判で「事件が起きてから、社員一人ひとりの残業時間を毎日管理するよう改めた」と公判で陳述しています。裁判は違法事実を電通が全て認めているので争うことがないので1回の公判で結審した。2017/10/6判決。
過労死させて、労基法違反罰金50万円の求刑は軽すぎるという意見がネット間で飛び交っています。直属上司は起訴猶予というのに遺族は納得していないの共感できます。
公判内容での陳述書の全文はまだ公開されていないようです。毎日新聞に要旨のみ掲載されていたので、以下の転記します。
電通 違法残業事件
検察側の冒頭陳述と論告要旨/弁護側の最終弁論要旨と社長の最終意見陳述要旨
毎日新聞2017年9月23日 東京朝刊
<冒頭陳述>
電通は事業所ごとに労使協定(36協定)を締結し、法定外労働時間の上限は一部を除き月50時間とされていた。東京本社の協定は組合組織率が過半数に満たず無効だったが、看過されていた。「クライアントファースト」として困難な業務も引き受け、深夜残業や休日出勤もいとわないという考え方で、全社的に長時間労働が行われていた。2014年度中は協定の上限を超えて働く労働者が全社で毎月約1400人いた。
関西支社は14年6月、東京本社は15年8月に労働基準監督署の是正勧告を受けた。電通は36協定をさらに改定して、勤務管理システムのデータ上は協定順守を達成したが、労働時間削減の具体的な対応は個々の労働者や管理者(部長)に任せられていたため、サービス残業を余儀なくされる労働者が相当数に及んだ。
労務管理を担当していた部長は、協定の上限を超過する可能性を認識していながら、高橋まつりさんらに長時間労働をさせた。
<論告>
電通は2回の是正勧告を受けて協定順守の方針を出したが、官公庁の入札指名停止を受けるなどし、東京五輪の商機を逃すのを避けるといった社の利益を優先させたものだった。労働時間規制への認識の甘さや労働者の健康を顧みない姿勢が引き起こした事件で、1人は不幸にも自殺した。刑事責任は軽視できない。業界で随一の規模と業績を誇る大企業で、労働環境の適正化に取り組むべき社会的責任も大。同種犯罪を防ぐという観点も考慮し、罰金50万円が相当。
弁護側の最終弁論要旨と社長の最終意見陳述
<最終弁論> 起訴内容は全て争わない。裁判で審理されることを厳粛に受け止める。二度と問題を繰り返さないため、過重労働の撲滅と労働環境の改善に取り組んでおり、午後10時以降の全館消灯や協定の運用見直しなど、既に具体的に対処している。経営陣は、新しい電通をつくる決意だ。
<最終意見陳述>
社長として重大な責任を感じる。高橋まつりさんの命を失った責任は重大で、あらためておわび申し上げる。仕事に時間をかけることがサービスの向上につながると思い込んでいた。この反省に立ち、社員全員の健康維持が企業価値の向上につながるという考えに改める。働き方も働きぶりも信頼される会社にすることが社長としての責務であり、全役員の決意と覚悟だ。
(毎日新聞2017年9月23日)