ベルト周辺に張り巡らせる引き綱式非常停止スイッチ

2019/3/6　18:30

 無線で止めるのは、非常停止装置に非ず。

 

　 光和精鉱株式会社のﾍﾞﾙﾄコンベヤには、緊急非常停止スイッチがない。手動運転の操作盤はあるが、これは非常停止停止スイッチではない。

　 回転体には一切さわることを禁止しているが、ベルト回転体がむき出し部分にこれくらいは大丈夫と思い、手を思わず差し入れて巻き込まれる事故が忘れたことに起こる。回転体手出し厳禁は知っていても、ローラーをハンマーで叩いたり、回転中のベルト下の落鉱掃除をしてします。コンベヤは高速回転ではなく、ゆっくり回転しているので、これくらい大丈夫と過信するのです。

   ベルト蛇行して送鉱が止まると稼動停止になり、余計に手間かかかるので、応急措置としてベルト止めることなく手入れをしてしまうのです。一人作業は相互牽制がないこともあり、思わず回転体に手出しする心理は多くの人が経験し見ています。

 

   労働安全衛生法では、ベルト事故対策として柵の設置、非常停止装置の取り付けが義務づけられています。

　ところが、光和精鉱では、柵の設置は完璧ではなく、非常停止スイッチは、手動運転操作盤と兼用です。

　無線連絡して計器室で止めることをもって非常停止装置に代用することには無理があります。雑音で聞こえない。計器操作盤近くに不在のときは、瞬時に止められません。

 

　法律では、コンベヤの周辺のどこでも、緊急停止できるように『非常停止装置(＝引綱式のスイッチ)』の設置が義務付けられています。

　安衛則第151条の78で「コンベヤについては、労働者の身体の一部が巻き込まれる等労働者に危険が生ずるおそれのあるときは、非常の場合に直ちにコンベヤーの運転を停止することができる装置（第151条の82において『非常停止装置』という）を設けなければならない」と定めています。しかし、ﾍﾞﾙﾄコンベヤに接触し、巻き込まれる危険を排除する措置を講じているときは非常停止不要です。

　非常停止装置つけなくてよい要件

（1）コンベヤ周辺を全部プラスチック、鉄板等で覆ってある。--隙間なく開口部が完全に覆われて用具差し入れできない構造。

（2）コンベヤ外側にすぐに取り外しできない柵を設置し、作業者がコンベアに入ることができないようにする。--柵外したらベルト自動停止する装置必要。

（3）ベルトコンベヤ等でローラー部分に柵又は覆いがあり、巻き込まれるおそれのある部分と作業を行う者との間を遮断する。

 

　非常用停止装置とは、通達で「非常停止装置には、ロープ式非常停止装置のように、コンベヤに沿ってロープが張られこのロープを引くことによってコンベヤの運転を直ちに停止できるもの、巻き込まれるおそれのある箇所ごとに設置される非常停止スイッチ、コンベヤの長さが短いときに送り出し側とコンベヤーの末端に設置する非常停止スイッチ等があること」となつています。

　

　巻き込まれるおそれがあるかは、災害事例から予見可能で、禁制事項順守させているから非常停止装置不用は安全最優先ではありません。リスクを予見して、安全確保する設備的対策をしないのは安全配慮義務違反です。

 

「労働安全衛生規則」

(掃除等の場合の運転の停止等)

第107条　事業者は、機械（刃部を除く。）の掃除、給油、検査、修理又は調整の作業を行う場合において、労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、機械の運転を停止しなければならない。ただし、機械の運転中に作業を行わなければならない場合において、危険な個所に覆いを設ける等の措置を講じたときは、この限りではない。

（非常停止装置）

第151条の78　事業者は、コンベヤについては、労働者の身体の一部が巻き込まれる等労働者に危険が生ずるおそれのあるときは、非常の場合に直ちにコンベヤの運転を停止することができる装置を備えなければならない。

  

コンベヤの安全基準に関する技術上の指針　ﾘﾝｸ

労働安全衛生法（昭和47年法律第57号）第28条第１項の規定に基づき、コンベヤの安全基準に関す
る技術上の指針
    コンベヤの安全基準に関する技術上の指針