65歳定年延長

日経新聞2019/5/15 70歳雇用へ企業に努力義務記事の図表 
日経新聞2019/5/15 70歳雇用へ企業に努力義務記事の図表 

2021/5/11

同一役職10年間で解任-日本製鉄

 

     日本製鉄は2021/4/1から65歳定年延長を実施します。その労働条件は次のとおりです。

  • 賃金-役割給割合増、年齢給45歳以降逓減
  • 退職金-現行60歳水準を65歳へ移行して退職金増額しない。
  • 役職-同一役職在任10年間上限し解任する。昇進しないと解任となる。
  • 関連会社へ転籍年齢-転籍現行55歳から60歳に変更し賃金差額、早期退職金加算継続
  • 交替勤務-免除しない。

 

 和精鉱株式会社は定年延長を検討するとの2021春闘回答あっています。どのような条件になるのか推理してみます。

 光和精鉱株式会社の改定賃金制度は、年齢給もなく人事考課により増額幅が決まり、考課悪いと増額なしの累積型賃金テーブルで降給はありません。

 現在、役職定年はないので役職ポストつくるために組織細分化し、事務管理部門は肥大化傾向になっています。定年延長は役職者の処遇が最大の課題です。60歳で役職解任し、60歳時点の賃金をリセットして別建て賃金テーブルを設けて降給できるようにするか、60歳水準の20~30%減とすることが考えられます。そうであれば、定年延長ではなく再雇用制度に毎年昇給、降給がある賃金テーブルとなります。

 現行退職金は55歳で退職金の勤続年数凍結でスライド額の基礎額は旧い賃金テーブルの年功給+職能給に勤続年数に比例した係数をかけてスライド額に定額加算、特別加算額を加算して算出しています。スライド額比率はとても少ないので60歳で凍結すればよい。そもそも新賃金制度では退職金スライド基礎額となるものがないので、旧い賃金テーブルを使用して退職金計算している矛盾があります。ポイント制退職金制度にするしかないでしょう。

 光和精鉱では、自力で制度設計はできないであろうから、また社外の人事コンサルタントに高いお金払って設計委託することでしょう。

 

70歳就業法」(改正高年齢者雇用安定法)が 2021/4から施行されます。これにより、希望する社員が70歳まで働けるようにする「努力義務」が企業に課せられます。努力義務だから罰則はなく強制されません。希望しないよう処遇を悪くするか、特別な人を嘱託再雇用として恣意的運用することで「努力」していると世間体を取り繕うことが予見されます。取締役は70歳まで役員継続または常勤顧問や相談役として雇用することの口実に利用できます。65歳定年延長は部、課長、係長、職長を60歳で一律解任を原則とし、例外をつくり役割ポストを増やすので、定年延長は労務費コストが増えるのです。